停電時にUPS(無停電電源装置)から複数のNAS・サーバーを自動的にシャットダウンする設定方法 [中小企業向け]

1. はじめに

中小企業では社内にNASを設置されている場合も多いと思います。その場合、停電対策は非常に重要な課題となっています。本記事では、UPS(無停電電源装置)を使用して、複数のNASやサーバーを自動的にシャットダウンする方法について詳しく解説します。

2. UPSの重要性

UPSは単なる電源バックアップ装置ではありません。以下のような重要な機能を提供します。

3. システム構成

今回の環境では、以下の機器を使用します。

4. セットアップの手順

4.1. 1. UPSとNASの接続

まず、UPSとSynology NASをUSBケーブルで接続します。これにより、UPSの状態をNASが直接監視できるようになります。

4.2. 2. NASのネットワークUPS設定

  1. Synology DSMにログインします。
  2. コントロールパネル > ハードウェアと電源 > UPSに移動します。
  3. 「UPSサポートを有効にする」にチェックを入れます。
  4. UPSタイプで「USB UPS」を選択します。
  5. 「ネットワークUPSサーバーを有効にする」にチェックを入れます。
  6. 「許可されたSynology NASデバイス」に連携する他のNASやWindows PCのIPアドレスを設定します。
  7. シャットダウン設定を行います。例えば、5分でスタンバイ、その後、自動シャットダウンするなど。
  8. 「適用」をクリックして設定を保存します。

4.3. 3. Windows PCの設定

(1)WinNUT-clientをダウンロードしてインストールします。

(2)WinNUT-clientを起動し、設定画面を開きます。

(3)NASのIPアドレス、ポート番号(デフォルトは3493)を入力します。

(4)UPSの名前とパスワードを設定します(NASの設定と一致させる必要があります)。
Synology NAS DS220の場合のデフォルト値は次の通りです。

(5)WinNUT-clientがWindows起動時に自動起動するよう設定します。

5. 注意点と追加のヒント

NASの機能で自動的にクラウドと同期する機能もあるので、それらも活用します。

6. まとめ

この設定により、1つのUSBポートしかないUPSでも、NASを介して複数の機器を自動シャットダウンできるようになります。

適切なUPS選択と設定により、予期せぬ停電からビジネスクリティカルなデータと機器を守ることができます。定期的なメンテナンスと動作確認を忘れずに行い、常に最適な状態を保つことが重要です。

7. 補足

WinNUT-clientがNASとの接続に失敗する場合、ログイン情報等が間違っている可能性があります。その場合は、NASのSSHを有効にし、ターミナルからNASにSSHログインした状態で次のコマンドを入力するとNASのUPS関連情報を確認できます。
調査後は不要であればSSHも無効にしたほうがよいと思います。

UPS Name

sudo upsc -l

ログイン情報

sudo tail /etc/ups/upsd.users

8. 停電時にUPSから複数のNAS・サーバーを自動的にシャットダウンする設定のFAQ

1台のUPSで複数の機器を制御できますか?
はい、可能です。NASのネットワークUPS機能を利用することで、1台のUPSで複数の機器を制御できます。UPSとNASをUSB接続し、他の機器はネットワーク経由でNASと連携させます。
Windows PCをUPSと連携させるにはどうすればよいですか?
Windows PCの場合、WinNUT-clientというソフトウェアを使用します。インストール後、NASのIPアドレス、ポート番号、UPS名、ログイン情報を設定します。
なぜUPSが必要なのですか?
UPSは以下の重要な機能を提供します: 停電時の即時電力供給 電圧の安定化 電力ラインノイズの除去 長時間停電時の安全な自動シャットダウン これらの機能により、データ損失や機器の損傷を防ぐことができます。